ズームアイ

TBRの社員が「経営センサー」に寄稿しています。

岩谷 俊之

日本人ですが、それは存じません





繊維・市場調査部
岩谷 俊之

 唐突ですが、経営センサー読者の中で「アキバフクロウ」といわれて「ああ、それ知っています」と言える方はどの程度おられるのでしょうか。ちなみに、私は全く知りませんでした。
 実は先日、ある旅行情報サイトで「外国人に人気の日本観光スポットランキング」というのを目にしました。こういったランキング、往々にして日本人から見ると「へえ、あそこが?」と思える場所が挙がっているものですが、人気第1位がどこかというと、京都の伏見稲荷大社。あの延々と続く赤い鳥居が外国人には絶大な人気で、4年連続1位というからちょっと驚きます。
 そして第2位は?ここで登場するのが問題のアキバフクロウなのです。何ですか?アキバフクロウって。観光スポットというからには場所の名前なのでしょうが、日本に住んでいながら全く存じません。第2位なのに。
   このアキバフクロウ、調べてみると「フクロウのいるカフェ」のようです。所在地はその名の通り秋葉原。確かにフクロウというのは見た目がかわいい鳥です。それは認めます。でも、だからって金閣寺や東京ディズニーランド(TDL)よりフクロウですか?ちなみに、そのランキングでは金閣寺は第8位、TDLは何と上位30位に入っていません。これまた驚きです。

 日本を訪れる外国人観光客が増えるにつれ、「日本リピーター」の比率も増加の一途。観光庁のデータでは韓国人旅行者の約7割、台湾の旅行者に至っては8割以上がリピーターです。訪日回数が増えれば「富士山やTDLはもう行った。次は日本ならではの珍しい体験がしたい」と思うのも無理のない話で、コスプレ姿でカートに乗って東京を疾走したり、ニンジャ体験ツアーに参加したりする外国人も増えるわけです。そういった体験談が「口コミ」ならぬ「SNSコミ」で拡散すればたちまち世界的な人気を獲得できますから、サービスを提供する方も外国人ウケを狙って次々と"珍日本体験"サービスを投入するのでしょう。
 しかし、それにしても第2位にアキバフクロウとは…これも「SNSコミ」を通じて海外で人気がでたのかもしれませんが、日本人である私は「そんなものがあることすら存じませんでした」と言うしかありません。
 秋葉原といえば弊社から歩いてすぐ。私自身、秋葉原では過去に外国人から「電気街はどっちですか?」などと聞かれたことがあります。これまではちゃんと教えてあげられました。しかし日本人ですら知らない、マニアックすぎる珍日本体験を求めるリピーター旅行者が増えると、いくらこちらが"地元の人"でも、もはや守備範囲を超えています。秋葉原で「アキバフクロウはどこですか?」と聞かれても、答えられるはずがありません。知らないんですから。
 日本に来た外国人観光客には日本を楽しんでもらいたいし、困っていれば親切にいろいろと教えてあげたいと思います。しかしこの調子では、いずれ外国人から何か聞かれた時、勇気をもって「アイ ドント ノウ」と言わなければならない日も遠くなさそうです。

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