ズームアイ

TBRの社員が「経営センサー」に寄稿しています。

寒川 雅彦

「爆買い」から「爆輸入」に̶
ビジネスチャンスを活かせ





主幹
寒川 雅彦

 前回、2016年12月号で「富める者から富めばいい」と題して、中国人観光客や中国の国内事情・今後の動向について触れました。当社近隣の秋葉原をうろついていると、以前からの台湾、香港、沿海部あたりの観光客に加え、最近は巻き舌でアール音の利いた中国語をよく耳にします。これは北京を中心とした普通語(標準語)の特徴ですが、主に東北部の人々に多い発音です。また、それに加えて、タイ語、インドネシア語といった東南アジアの言葉も聞こえてきますので、確実に客層が拡大・変化していることがうかがえます。

 中国人観光客の「爆買い」がもたらしたインバウンド効果はここにきて縮小傾向が顕著になっています。しかし、中国人の消費志向自体はとどまるところを知らないようです。1人当たりGDPが1万ドルの都市の人口は3億人以上で、消費の波はさらに内陸部へと拡大しています。中国の消費者志向は、価格と性能のバランスが取れた高付加価値品(まさに日本が得意とするゾーン)を求めています。訪日外国人観光客によるインバウンド効果の減少には「観光」と「買い物」の分離という現象があります。純粋に観光を楽しむといった姿に変化しています。しかしとどまることを知らないはずの中国人の消費行動はどこで満たされているのでしょうか。

 中国の消費者を満足させているものに電子商取引(EC)があります。国内外の商品をインターネット経由で購入するビジネスが急拡大しています。中国の阿里巴巴集団(アリババグループ、本社:浙江省杭州市、会長:ジャック・マー)が運営する中国最大の越境ECサイト「天猫国際」(Tmall Global)が有名です。サイトには日本のみならず世界各国のサイトがあり、あらゆる商品が自宅に届けられます。高品質で安心・安全な日本の商品は人気が高く、特にベビー用品やコスメ関係の商品が支持されています。お金と時間をかけてわざわざ日本に買い物にいく必要がなくなりました。輸入増加は中国の国内経済にとってもプラスになるので中国政府もこれを後押ししています。

 2017年12月中国政府は関税の一斉引き下げを実施しました。日本で「爆買い」をしていた中国人が好んで買っていた商品である紙おむつや粉ミルクなどは関税ゼロになりました。全体の取扱商品は世界68カ国・地域から3,700種類、16,400ブランドにものぼります。2017年、天猫国際では日本からの輸入額が第1位となり、日本からの売れ筋商品ベスト3は、紙おむつ、美容フェースマスク、美容器具でした。天猫国際の利用者は過去3年で3倍となり、上海、深センをはじめ河南省、安徽省など内陸部にまで拡大しています。「90後」(1990年生まれ以降)世代が利用者の半分近くを占めるなど、若者の支持を得ています。今後、若者のニーズをいかに取り込むか、個性化・多様化といった消費トレンドをキャッチして、いち早く商品化することがポイントとなります。着実に伸びる越境EC市場を活用したビジネスモデルはこれまで中国市場開拓に苦心してきた企業にとって起死回生のチャンスといえるのではないでしょうか。

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