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【経済】

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2018年1月
原油価格はシェールオイルの増産で再び下がるのか
-シェールオイル開発の生産性に関する分析-

2017年末から18年にかけて原油価格(WTI)は上昇しており、ついに1バレル60ドル台を突入した。地政学的緊張や投資家のリスクオン姿勢によるものだが、その背景にはOPECなど主要産油国の減産継続で原油需給が均衡に向かうという観測の強まりが関係している。
一方、パーミアンなど米国のシェールオイルの産地では2017年に入って原油増産が本格化している。増産が本格化する理由として、開発企業の生産性改善とコスト削減に向けた取り組みが奏功したこと等が挙げられる。
短期的には米国のシェールオイルには生産余力がある。米国のシェール産地には多数のDUC(Drilling but UnComplete:掘削済み未完成)井があり、これらの井戸は水圧破砕をかければ直ちに原油回収が可能となる。DUC井の規模は、2015年以降積み上げられたものだけでも、日量158万バレルの増産が可能であり、原油価格が上昇したとしてもいずれDUC井からシェールオイルの供給が増加して油価は低下する。
中期的に米国のシェールオイルの増産が続くかどうかはシェール事業の生産性動向次第である。稼働する一リグ当たり新規原油生産量は2014年から17年にかけて倍増を上回る伸びを示したが、@掘削段階:一リグ当たり開発油井数、A油井決定段階:開発油井全体における生産油井シェア、B原油生産段階:新規一生産油井当たりの原油生産量、について寄与度分解すると、Bの効果的な水圧破砕など原油生産段階における取り組みが生産性改善に大きく貢献した。
対照的に、Aの油井決定段階の、開発油井全体に占める生産油井シェアの寄与度低下・マイナス寄与が懸念される。実証分析によると、スイートスポット(高生産・低コスト油井)の発見率の低下等が生産油井の同シェア低下を招いて生産性を引き下げていることを示した。試算では2017年のシェールオイルの生産は想定より77万バレル程度低い。このままではシェールオイルの増産継続は中期的に困難になる恐れがある。
なお、原油先物市場を見ると、期限が先のものになればなるほど原油価格が低下している。その要因として、再生可能エネルギーと電気自動車(EV)のブームによる原油需要低下を指摘する声がある。ただこれらが実現するには数々の障害を乗り越える必要があり、こういった要因は早晩原油市場で剥落する可能性が高い。むしろ原油価格は、シェールオイルの事業採算の悪化や従来油田のこれまでの採掘投資削減の影響で、中期的に上昇する可能性が高い。
本レポートでは、他にも2017年の原油市場とシェールオイル生産の動向(第1章)や、米国のシェールオイルの生産を支えるパーミアンの開発状況やパーミアン固有の特徴(第2章)についても説明している。

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