TBR調査レポート

経済

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2017年9月
なぜ「製造業のサービス化」が進んでいるのか
〜 IoT・デジタル化の進展が後押し、素材メーカーも無縁ではない 〜

以前から進んでいた「製造業のサービス化」の動きが、最近一段と加速している。
21世紀に入って製造業のサービス化が進んだ背景には、新興国の台頭とITの発達によるものづくりへの参入ハードルの低下を受けて、ハイテク製品でさえも短期間でコモディティ化するようになったことがある。この結果、製品自体の価値よりも、製品の使用段階における使用価値・経験価値を重視する風潮が高まってきた。
IoTの普及により、製造業の競争軸が「モノの製造・販売」から「モノを介した顧客価値の提供全般」へと広がり、製造業がデジタルデータを使って顧客のニーズを知り、ハードとソフト・サービスを融合させて顧客の課題解決に貢献するビジネスに乗り出せるようになった。この結果、製造業のサービス化の動きがさらに強まっている。
独インダストリー4.0は、デジタル化による製造プロセスの最適化(効率性の改善)だけでなく、「スマートサービス」による新たなビジネスモデル創出を狙った政策であるが、真の狙いは後者にある。インダストリー4.0はIoT時代における製造業の競争力維持策としてサービス化を志向する政策と言える。
日本の製造業のIoTを活用したサービス化への取り組みは、欧米に比べて遅れている。しかし、第4次産業革命時代の環境変化に対応して製造業が生き残っていくために、「モノを通じたサービス提供による価値創造」に取り組む必要性は高まっている。
素材産業にとってもサービス化は無縁ではない。製造業のサービス化を促す環境変化は、素材メーカーにも押し寄せており、モノとサービスを組み合わせた事業モデル開発が重要になりつつある。多様かつ刻々と変化する顧客ニーズに柔軟かつ機敏に対応するには、素材メーカーもIoTを活用したサービス・ソリューション提供による価値創造を検討すべきと考える。

【キーワード】
サービス事業化、サービス価値化、使用価値・経験価値、モノからコトへ、コモディティ化克服策、IoT、第4次産業革命、インダストリー4.0、スマートサービス、サービス・ソリューション展開


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2017年3月
シェール革命と石油化学産業の動向について(下)
高機能フィルム市場に多様な商機
-食関連包装から電子デバイスのバリアフィルムまで-

シェール革命で生産された米国の安価な石油化学製品はアジア地域に流れ込み、日本の石化産業に打撃を与えるとの声がある。実際に打撃を与えるかどうかアジア地域など新興国で石油化学製品を使う包装関連の産業動向に焦点を当てて考えたい。
世界で人口増加、経済成長、中間層の台頭、そして肉食化が進行しており、食関連市場が拡大する。また日本の農産物や食品に対する需要も増加するだろう。さらに新興国でのコンビニなど近代的小売店の展開も急ピッチで進んでいる。
2020年の冷凍・冷蔵食品需要は1.3兆ドルまで拡大すると見込まれるが、そのためには新興国でのコールドチェーンの整備が不可欠である。これらの整備が進むにつれて近代的小売店が普及して食関連市場が拡大する。そのことは包装需要の増加につながる。
今後、包装製品は軽くて形状自由なフィルムなどの柔らかい包装材料の製品にシフトする。加えて輸送する農産物や食品等の品質保持やロングライフ化が求められ、そういった高い機能を持つ包装製品が必要となる。
日本等のフィルムメーカーは農産物等の品質や寿命に影響を与える水蒸気や酸素を遮断するバリア性を持つ包装製品を開発・上市してきた。今後は有機ELや有機薄膜太陽電池などの分野への展開も予想される。ただし、有機EL等の分野で必要なフィルムのバリア性能は食品の数ケタ以上も高いと言われており、目下、内外のメーカーが開発中である。
日本のフィルムメーカーはこうしたニーズに対応して技術力を磨き高い競争力を維持してきた。シェール革命後の産業構造の変動にも高い技術力を持って対抗すべきだろう。

【キーワード】
シェール革命、包装産業、人口増加、経済成長、中間層、肉食化、コンビニエンスストア、近代的小売店、日本食レストラン、冷凍・冷蔵食品、コールドチェーン、硬包材、軟包材、「1/3ルール」、品質保持、ロングライフ、バリア機能、アルミ蒸着フィルム、樹脂系バリアフィルム、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、コーティング系バリアフィルム、透明蒸着フィルム、アルミナ、シリカ、レトルトパウチ、電子デバイスのフレキシブル化、有機ELディスプレイ、有機薄膜太陽電池、水蒸気透過度、サイド消光、ダークスポット、ハイバリアフィルム、積層化、原資堆積(ALD)法、Roll to Roll プロセス、カルシウム法、バックグラウンドノイズ


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目前に迫ったクルマの自動運転
自動車メーカーに産業構造転換の危機 まずは異業種とのビッグデータの争奪戦へ

自動運転機能を持つクルマが市場に投入されている。自動運転の開発は自動車メーカーがもともと取り組んでいたが、ITなど異業種の参入が開発を加速させた。異業種の参入には自動車のメガサプライヤーや半導体メーカーの貢献が大きい。
技術的課題は、自動運転プラットフォームの高度化・小型化・低価格化、高精度地図や関連インフラの整備、ヒトとのやりとりの仕方、サイバーセキュリティがあり、社会的課題は、関連条約・国内法の改正、事故時の責任の所在、社会での理解浸透などがある。
自動運転車開発に関して2年前との違いは、@AIの活用進展、A異業種の自動運転車市場へのスタンス変化、B自動車メーカーの走行ビッグデータ獲得への動き、がある。特にBについて自動車メーカーと異業種企業は自動運転車の販売ではなく、走行ビッグデータの獲得を巡って対立することとなろう。
自動運転車は2020年以降、地方から普及していき、2030年には街中に出現するが、規制改革や法制度整備の進展具合によっては欧米での普及の方が速い可能性もある。
2030年以降、先進国を中心に自動運転車が普及し、ライドシェアが理解浸透する。その結果、先進国内の自動車の販売台数は減少して自動車産業は構造転換を迫られるだろう。今後10年程度で自動車メーカーはこれまでのクルマの売り切りビジネスから脱却できるかどうか注目される。

【キーワード】
自動運転車、人工知能(AI)、交通事故、移動サービス、自動運転プラットフォーム、メガサプライヤー、ディープラーニング(深層学習)、3次元地図、車車間通信、路車間通信、ヒトとのやりとり(Human Machine Interface)、サイバー攻撃、ジュネーブ条約、ウィーン条約、道路交通法、事故時の責任の所在、ビッグデータ、ライドシェア


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2017年2月
2017年の日本産業を読み解く10のキーワード 〜 この底流変化を見逃すな 〜

本稿では、年頭に当たり、2017年の日本産業を読み解く上で重要と思われるキーワードを筆者なりに選定し、解説してみたい。
キーワード選定に当たっては、個別セクターの動向よりも、幅広い業種の企業経営や産業全般にかかわるテーマを中心に選んでいる。また、巷でよくある「今年のトレンド予測」や株式市場で材料となる一過性のテーマ探しとは一線を画し、現在、世界の産業の底流で起こっていて、日本企業の経営に影響を与えそうな構造変化や質的変化をとらえることを重視している。
2017年のキーワードを10個挙げると、以下のとおりである。
1.IoT・AI・第4次産業革命への対応
2.サイバーセキュリティ
3.コミュニケーションロボット
4.VR(仮想現実)・AR(拡張現実)
5.宇宙ビジネス
6.3Dプリンター
7.セルロースナノファイバー
8.インフラ投資
9.越境EC
10.反グローバリズム

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