中国ビジネスレポート

最新レポート

「2010年の中国の可処分所得と消費支出」はこちら

アパレル製品展“NOVOMANIA”

株式会社フランドル上海事務所 所長 篠原航平

 NOVOMANIA注12012が本年の3月7日から9日の3日間上海市で行われた。NOVOMANIAとは1年に1度上海で開催され、今年で3回目となるアパレルの製品展である。そこには中国はもちろん世界中から中国本土で店舗展開や拡大を狙うアパレル企業が参加し、来場する代理商らとパートナーシップを結ぶ可能性を探る。参加企業は、中国市場で中級~高級ブランドに相当するアーバンファッションのアパレルブランドを持つ企業が中心である注2。NOVOMANIAは、香港のアパレルメーカーTOPPY International社注3傘下のNOVO社注4運営によるものだ。NOVO社は若いホワイトカラー層をターゲットにしたNOVO CONCEPTという、ファッション中心のユニークな百貨店を中国で既に10店舗展開している。「アパレル企業がアパレル製品展を運営?」と奇異に感じる方もいるかもしれないが、日本の展示会rooms(日本で最も早いタイミングで行われるファッション系の合同展示会でレベルの高いクリエーションが定評)もアパレル企業H.P.FRANCEによるものである。NOVOMANIAはアパレル企業を母体に持ち、百貨店業等を行う企業ならではのモード感溢れる、クオリティーの高い展示会運営となっている。筆者は仕事柄中国のさまざまな展示会を見学する機会があるが、現在、中国のアパレル製品展の中でもNOVOMANIAは最も高いレベルにあると感じる。
 今回筆者は初日の3月7日と8日の2日間会場を訪問した。今年のNOVOMANIAの会場は去年の上海マート(上海世贸商场)から、上海万博の跡地で中国館に隣接する上海世博展覧館に移っての開催となった。上海世博展覧館は一部の外壁がパリのBHVのように植物で覆われたモダンな建築物。会場はファッションショーやセミナーが催されるイベントスペースを中心に、参加ブランドの趣向を凝らしたブースがフロアの隅々まで広がる。ブースの多くが、少なくとも百貨店やショッピングセンターに出店する店舗と同等、またはそれ以上のレベルの内装と規模である。通路を歩いていると展示会を見学に来ているのではなく、買い物に来ているように錯覚する。ブランドの中には、自社製品を着用したモデルに会場内を練り歩かせているところもあった。また大きな通路ではBMXのパフォーマンスやジャグリングが行われたりもする。ファッショナブルな空気に包まれた中、来場者は各ブランドのブースで、アパレル品だけでなく、店舗の内装や什器など、ブランドの世界観そのものを知ることができる。
 今回のNOVOMANIAに参加したアパレルブランドは124で、日本のブランドは10である注5。いずれのブースも多くの来場者があり、好評であることを伺わせた。筆者はその中の二つの日系ブランドの責任者に話を伺ってみた。
 イオングループの株式会社コックスは、ストリートとモードのテイストが入ったレディース/メンズブランドVENCE EXCHANGEを出展。上海を中心に既に華東地区に6店舗を展開している。総経理の本郷氏は「百貨店関係者を中心に、上海始め中国全土のさまざまなエリアから多数のお客様にお越しいただき、商品やブランドの世界観を見ていただくことができた」と話す。
 レディースブランドLIZ LISAとメンズブランドBLACK SENSEを出展したのはクロスプラス株式会社。GENERAL MANAGERの須田氏は、中国向けのブランドで現在3店舗展開するBLACK SENSEについて次のように話す。「中国市場はレディースに対しメンズがまだ保守的で、BLACK SENSEのようなモード色の強いブランドは決して多くない。しかし今回のNOVOMANIAに参加し、その潜在的需要が十分にあることをあらためて強く感じた」。
 2社ともに今回の展示会に十分な手ごたえを感じているようだ。
 筆者は今回のNOVOMANIA2012終了後の3月末、NOVOMANIA総経理(GENERAL MANAGER)のGUILHERME FARIA氏に話を伺う機会を得た。
 最初にFARIA氏に今年のNOVOMANIAの来場者に関して聞いてみた。「今回のNOVOMANIAには3日間で前年比20%増となる約13,000人の方にお越しいただいた。来場者の職種は、代理商、不動産デベロッパー、百貨店関係者の順に多く、マスコミ関係者は約150人。来場者は上海市を中心とした沿岸の華東地区からが70%で、30%はその他中国全土からの訪問だ」。NOVOMANIAは今回で3回目となる新しい展示会であるが、業界関係者の関心を確実につかんでいるようだ。
 続いてFARIA氏に来場者に好評であったブランドに関して話を聞いた。「いずれのブランドも来場者に好評であったが、中でも評価が高かったのはAVIREX、EDWIN、MANGO、REPLAY、SUPERDRY、TOM TAILORといったブランド。これらのブランドには次の三つの共通点がある。(1)ファッションショーを行ったブランド。(2)ブースでミニショーなどイベントを行ったブランド。(3)大きなスペースのブースを作ったブランド。来場する中国の業界関係者はアパレルブランド、特に海外のものなどの事情に疎い事が少なくない。先入観の無い状態で展示会を見るため、ショーやイベントを行って目立つブランド、大きなブースでブランドの実力とその世界観を容易につかむことができるブランドのブースは人気が高いのだろう」。中国の人は日本の人より大きく、豪奢で目立つものを好む傾向があると筆者は強く感じる。例えば、中国最大規模のアパレル製品展CHIC(中国国际服装服饰博览会)では実際の建物の様な巨大で派手なブースが数多く出展される。また日常生活においても贈り物が包まれる包装は日本では考えられないくらい大きく、豪華である。FARIA氏が指摘する3点は、より多くの商談の機会を得るために、可能な企業はぜひ押さえておきたいポイントだ。
 FARIA氏はNOVOMANIAに参加してほしいブランドに関して話を続ける。「NOVOMANIAは、(1)グローバルビジネスに対応することができる国際的な感覚、(2)ユニークなアイデアを持つブランドの参加を特に歓迎する」。広大な国土を持つ中国で店舗展開や拡大を狙うブランドは、地域によって大きく異なる消費者の文化・風俗や嗜好そして体形などに対応することが求められる。それらはグローバルビジネスに求められる要素と重複する点も多々あるだろう。また市場の覇権を巡り多くのブランドが競争する中国市場では、多数の中に埋没せず、消費者を引きつける唯一無二の商品やサービスを持つブランドは強い。
 FARIA氏は最後に次の様に話す。「NOVOMANIAを通じ、ブランドは中国市場での展開と拡大の足掛かりを掴み、中国のファッション業界とその後ろの消費者は優れたブランドの進出による、ワンランク上の、新しいファッションを体験することができる。ブランドと中国のファッション市場との間、ひいては消費者との間の懸け橋となり、貢献することができるのが何よりもうれしい」。NOVOMANIAのロゴマークは漢字の「門」を模したものだ。FARIA氏の名刺や会社の入り口にはそのロゴマークの横に「NOVOMANIA YOUR GATEWAY TO NEW MARKETS」と記されている。新たな巨大市場中国に興味があるアパレル企業は、上海でNOVOMANIAという中国市場への門をノックしてみる価値は十分にあるだろう。

注1. http://www.novomania.com.cn/
注2. 服飾市場に卸売りを行うような安価なブランドや逆にラグジュアリーブランドやパリコレクションなどに参加するインターナショナルブランドなど超高級ブランドは見られない。また既に中国で多店舗展開に成功し、知名度の高いブランドの参加も多くはない
注3. EPISODEやJessicaといった自社ブランドをアジア圏を中心に展開する。http://www.toppy.com.hk/
注4. http://www.novoconcept.com.cn/
注5. 会場で配布の『NOVOMANIA BRAND BIBLE 2012』による。日系ブランドの数はそれに基づく筆者の分類による


NOVOMANIA2012会場入り口

込み合う会場の様子
   

まるで百貨店やショッピングセンターの中の様な会場内とブース

 
   

TOM TAILORのファッションショー

MANGOのファッションショー
   

ブース内のモデル
以上、写真7点 NOVOMANIA提供  
   

VENCE EXCHANGE(株式会社コックス)で人気の高かったアイテムを
紹介する本郷氏

BLACK SENSE(クロスプラス株式会社)の須田氏と人気の高かった
レザーのライダースジャケット(ボディ)
   

NOVOMANIA総経理のGUILHERME FARIA氏
以上、写真3点 筆者撮影
   

上海駐在レポート バックナンバーTOPページに戻る

このページのトップへ

  • ご利用条件
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ